好調 大阪都心部のタワーマンション

水野堅蔵

首都圏のマンション市場は失速しているようである。不動産経済研究所のデータをみると、2016年に首都圏で供給されたマンションの発売戸数は24年ぶりの低水準だった。原因は建築価格や地価の上昇で、ここ数年で首都圏のマンション価格は一般の購入層ではついてこられないほど高騰した。それでも富裕層の投資やセカンド需要、相続税対策、外国人の購入などに支えられて高額物件は好調だった。しかしここへ来て相続税対策の購入も外国人の需要も一巡して先の24年ぶりの低水準となった。

近畿圏ではどうであろう。少し古めだがニュースの見出しを繰ってみると、「価格は上昇一途 近畿分譲マンション市場(2016年7月)」首都圏同様、価格は高騰している。これは日本全国同様の傾向ではある。

「近畿圏11月のマンション販売堅調、家族向けやタワマンが好調(2016年12月)」「マンション発売 西高東低 1月の新築戸数、近畿圏26年ぶり逆転(2017年2月)」「大阪市中心部、タワーマンションの都に?(2017年2月)」等、昨年末から今年にかけて好調のようだ。見出しからは特にタワーマンションが好調とうかがえる。

近畿圏で完成した20階建て以上のマンションは2009年に39棟10,148戸を最高にリーマン・ショック、東日本大震災等の影響で戸数を減らしてきたが、2017年以降に完成する20階建て以上の超高層マンションの数は近畿圏で41棟13,249戸で一年前の調査時に比べて4棟1,465戸の増加、大阪市内では24棟8,325戸となっており、徐々に増加の兆しが出てきている。※完成予定年次 17年7棟2,676戸、18年13棟・3,205戸、19年12棟・3,104戸、20年6棟・2,131戸、21年以降3棟・2,133戸(不動産経済研究所発表資料)

実際に近畿圏のタワーマンションは、有名なホテル跡地や地下鉄駅直結などの話題物件が多く、また北区、中央区、西区などの通勤や買い物、レジャーにも便利な住宅向きの立地の物件が多く建設されており、首都圏のような投機的な購入が比較的少なく、販売は好調を維持しているようだ。

現在、大阪市中央区、北区で確認できるタワーマンションの販売予定物件は、14棟5,100戸余りある。坪当たりの予定販売単価は、安価なものでも250万円、大半が300万円以上となっており、依然として高止まっている。(当ラボ調べ)対策として各社ともスケールメリットを活かして、スーパーを併設したり、共用部の設備を充実させて商品の魅力を高め付加価値を上げる工夫に余念がない。今後息永くこの都心タワーマンション市場の好調を維持していけるか見守りたい。