2027年のリニア開通で、首都圏リタイア層の地方移住が加速する?

浅井 真吾

首都圏在住者の抱える矛盾

図1は、平成28年の都道府県別転入超過数である。見ていただくとわかるように、転入が転出を上回る都道府県は、全国でわずか7都府県に過ぎず、上位4都府県は首都圏に集中している。日本の人口減、首都圏への一極集中を物語る数字といえる。

総務省の住民基本台帳に基づく人口移動報告によれば、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)への転入超過は21年連続となっており、首都圏への人口集中が続いている。

一方で、内閣府による「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」(平成26年8月)によると、東京在住者の4割が地方への移住を検討または今後検討したいと考えているという結果が出ている。

上記のデータから推察すると、首都圏には人口が集中する一方で、地方への移住を検討している生活者も少なからずいるといえる。
首都圏の生活者は、首都圏での生活に憧れてはいるものの、地方でのんびり暮らしたいという葛藤があると考えられる。

リニアは地方移住の起爆剤になるのか

上記のような葛藤を抱える首都圏の生活者にとって、リニア開通は1つの起爆剤になる可能性を秘めているといえる。

例えば、まったく東京を離れて地方で暮らすということは考えにくいかもしれない。しかしながら、定年を迎えてリタイアした層が地方に移住し、週に1~2日のみ東京へ出てきて仕事をする。あるいは観光を楽しむ。そうしたライフスタイルであれば、現実味を帯びてくるのではないか。

リニアを使えば、東京と名古屋間を40分で移動でき、料金も東海道新幹線とほとんど変わらない。2万円強で、東京と名古屋を往復できることになるのである。

移住先は飯田・中津川が有力か

リニアの設置予定駅は6つ。品川(東京)、橋本(神奈川)、甲府(山梨)、飯田(長野)、中津川(岐阜)、名古屋である。
この中で、地方移住の候補地としては、甲府、飯田、中津川あたりが有力といえる。おそらく東京(品川)から40~50分で移動が可能ではないかと思われる。

リニア開通まで、あと10年。今後は東京のリタイア層を中心に、飯田や中津川への注目が高まっていくのではないかと推測される。